神保彰ワンマンオーケストラ音響レポート

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この記事は2016年8月に公開されました。

7月9日に美浜文化ホールの自主事業である、神保彰ワンマンオーケストラのコンサートがメインホールにて行われました。

 

皆さんは、ワンマンオーケストラとは、どのようなものであるかご存知でしょうか?

本来、バンドなどは、ドラム、ベース、ギターなど、複数の楽器をて奏でるのが普通だと思います。しかし、このワンマンオーケストラは、特別な機材を用いて、なんと神保さん一人でリズムだけではなくメロディやハーモニーまで、全てドラムで演奏してしまうのです。

今回、この公演にて音響の担当させて頂きましたので、その現場の様子を、主に音響を中心にご紹介しようと思います。


 

12:00

まずは、ドラム台とステージ席の設営です。今回は、神保さんのドラムテクニックを少しでも間近で観て堪能して頂こう! と言うことで、特別にステージ上に椅子が100席ほど並べられることになっています。

 

平台や箱足を使用し、二間×二間(約364cm)高さ一尺四寸(約42cm)の大きさでドラム台を作っていきます。

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このままだと、何もかも丸見えで格好悪いので、それを原反(げんたん、と読みます)と言う黒い布で覆っていきます。

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それでは、次に音響の方を見ていきましょう。

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PA席が客席に組んであります。

メインミキサーにO1V。左に積まれているのはチューニング用のQ2031×3、右はCD-RW402と、その上に測定用のPC、少し見辛いですが、奥には測定用のインターフェースとマイクが前の方に置いてあります。

 

美浜には、常設でカラムスピーカーがあるのですが、ドラムの音圧に負けないように、仮設でC7を立て、メインスピーカーとして使用しました。ハイのボックスを煽りはしたものの、客席の傾斜がきつく、このままだと、上の席の音が少し寂しくなってしまうので、フォロー用にプロセニアムスピーカーを7msecほどディレイをかけて出しています。

 

回線表はコチラ。マイク関係は全て持込のものでした。

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ドラムテクの枝川さんの手で、ドラムが次々と組まれて行きます。

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コチラが、ワンマンオーケストラの秘密兵器!

上の写真でも分かる通り、電子ドラムのPadが複数セットされていますね。それを叩く度に、それぞれ割り当てられた音が順番に音源から出る、と言った仕組みになっています。また、それだけではなく、スネアやバスドラムなどの個々の楽器にも、MIDI信号を音源へ送るためのピックアップが取り付けられています。ミキサーでDTX900MとFantom-XR の4ch分の音が2chにまとめられているので、音響はその出力をLineでもらうことになっています。

この公演のシステムでは自動演奏を一切行っておらず、どのパーツを何回叩いたらこの音が出る、と言ったように全てが綿密にプログラムされています。その為、一つのミスも許されないそうです。まさに、卓越されたテクニックを持つ、神保さんにしか成し得ない神業、と言うわけですね。


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今回は特別にステージ席を設けてあるため、そこへ座るお客さんの為に、ドラム台の周りをぐるりとスピーカー(d&bのMAX)が合計5台設置してあります。

このようなケースの場合、客席とステージ席の音量合わせが大切です。何度もPA席とステージを行き来し、なるべく通常の客席と遜色が無いよう、音量や音質を調整して行きます。

ステージ席の音はドラムの生音もプラスされるので、客席とはまた違ったバランスで返していきます。ドラムの音を気持ち下げめ、音源の音を気持ち大きめ。MAXはメインのスピーカーとして使うには少し低域が足りないので、多少ブーストしつつ、キックの音圧でライブ感を出す為に、キックだけ少し大きめに返しています。またO.Hは生音で十分シンバルが聞こえるため、返しは一切なし、と言った具合です。

ちなみに、神保さんご本人にモニターは、こちらでは特に必要ないと事前に聞いていましたので、何も置いていません。音源の音だけ、持込のイヤモニでモニターをされていたようです。


15:30

サウンド・チェック後、神保さんを交えてリハーサルがはじまります。

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神保さん側のオーダーで、全体的にコンデンサーマイクは全てオフマイク気味で立てています。元々の出音が良いのは勿論のこと、マイクの特性も良く、オフマイクの分少しアタックを強調した以外は、そこまでEQ処理をしなくても自然な音を作ることが出来ました。


17:00

ライブスタート!

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ライブは、クラシックから映画音楽まで、様々なジャンルの曲が入り乱れ、終始大盛り上がりでした。MCで時折見せる神保さんの人柄の良さに和みながら、演奏や掛け合いなどを皆思い思いに楽しんで頂けたようです。テキーラ時の掛け声が、ちゃっかりアキーラになっていたところがお茶目でした!

とても難しいことをされている筈なのに、軽々と、終始笑顔で楽しそうに演奏をされていたのが印象的でした。ステージ席のお客様も、普段中々近くで見られないドラムのテクニックに大満足のようでした。終演後は、皆でドラムを囲い、大撮影会が発生したりもしていました。

セットリスト

Mission impossible

Thriller
September
Smoke on the water

Waltz for Debby
Symphony No9-No5
Take me to the Mardigla
Ribertago

Drum Solo

Wish upon a star

Mambo No5~Tequila

Jamp-Same Ol
Enter the Dragon
Lupin the Third

Trutu
Halle
Omens
Domino
Takarajima
Asayake

Drum Solo

Sukiyaki

Star wars~Indy Jones~Pirates of the Caribbean

Encore
Mid Manhattan


如何でしたでしょうか。

大分専門的な内容になってしまい、耳慣れない言葉もあるとは思いますが、少しでも当日の様子を感じて頂けたら幸いです。