普通救命講習会(2020年改定)体験レポート

  1. TOP
  2. PAC LIVE Voice
  3. 研修体験
  4. 普通救命講習会(2020年改定)体験レポート

はじめに

弊社では業務における安全衛生水準の向上を図るために、救命用具の適正使用と維持管理を目的とした社員教育の一環として、各事業所の責任者や安全衛生管理者を中心に「普通救命講習会」による訓練を年に3回実施しております。

講習内容は5年に1度の間隔で内容の改定が行われていますので、1度受講すれば万全というわけでは無く定期的な再受講が必要とされています。

2020年以降は、2015年に定められたガイドラインを基に「意識不明者への初期対応をするか否かの判断に迷った場合でも、速やかに救命処置を進めるべき」という、初期対応の重要さが強調された内容に変わりました。

実際問題として、119番の通報がされても救急隊の到着まで心肺蘇生処置が何も行われておらず、救命につながらなかったケースが多いためです。

救急救命講習テキスト本.jpg

◆今回は、4月某日に都内で行われた「普通救命講習会」での心肺蘇生法とAED操作の体験をレポートさせていただきます。

通常は20~30名を集って開催される講習会ですが、コロナ対策のため密を避けるかたちで参加者は12名に限定されました。

参加人数が少ない分、訓練用のダミー人形1体につき2名の割り振りで、短時間にじっくりと訓練を行うことが出来ました。

 

【心肺蘇生】

目の前にいる人が急に胸をおさえて苦しみ、意識を失ってしまったら...

声かけによる意識の確認と目視による呼吸の有無を確認したのち、周囲の人に助けを求めてAEDと救急車の手配をそれぞれ依頼し、速やかに心肺蘇生を始めなければなりません。

「胸部圧迫(心臓マッサージ)30回と、気道確保した上での人工呼吸を2回」

このルーティーンを救急隊員に引き継ぐまで、絶え間なく実行することが求められます。

※東京都内であっても、救急車が到着するまで平均で7~8分を要するとされていますが、何も処置を行わなければ助かる確率は10パーセントを切ってしまうそうです。

救急救命講習1.jpg

ガイダンスに続いて、ダミー人形での実技訓練となりました。

●胸部圧迫(30回1セット)

①、胸の中央にある胸骨のあたりに心臓はありますが、両腕の手のひらを揃えて乗せてこの部分を垂直に5㎝圧迫します。

②、ペースは脈拍の平均値である100120BPMのリズムをキープ。体をぴったり寄せて自分の上半身の体重を乗せるように押し込むと体勢が安定し、充分に力をこめて圧迫し続けることが出来ます。

●人工呼吸(2回1セット)

①、蘇生用マウスピースの使い方のガイダンスの後、息を吹き込む"フリ"のみで実施いたしました。

②、あごと額に指をそえて、頭部を上にぐっと向ける形で気道確保します。

※本来ならば、実際に上記の処置を繰り返す動作を7~8分間体験するべきところではありますが、コロナ対策として密状態を避けるために今回は2分に時間が縮小されました。

考察:

救急隊の到着まで(78分間)自分1人でやり続けるのは体力的に困難を伴うと予想されました。

胸部圧迫を絶やす事なく心肺蘇生につながる処置をするためには、周囲に協力を求めて適切な指示を出さねばならないため、統率力が求められると感じました。

 

救急救命講習2.jpg

~休憩を挟んだのち、後半はAED取り扱いの訓練となりました。

 

【AEDによる除細動】

一般的に誤解があるかもしれませんが、AEDの電気ショックによって心臓が正常な鼓動をとり戻すわけではありません。

AEDは、電気ショックにより心筋梗塞などで乱れた心臓の痙攣状態(心室細動)をリセットし、胸部の圧迫によって心肺蘇生の効果が出やすい状態にするための機器であり、回復がみられず通電ボタンの指示がでているかぎりは、電気ショックと心臓マッサージを何度も試みなければならないのです。

 

※AED機器は音声ガイダンスに従って電極パッドを所定の部位に貼り付けるだけで基本操作は完了しますが、主電源スイッチを手動で入れるタイプと、自動で主電源が入るタイプの2種類。また電極パッドと本体があらかじめ繋がっているタイプと、そうでないタイプがあります。

いずれのタイプも、落ち着いて機器本体などに表示されたメッセージを読み解けば誤操作なく扱えるようになっています。

また、体の小さい小児に使用する場合に、電圧を抑えるために本体に"小児モード"へ切り替えるスイッチがあるタイプと、小児用の電極パッドを使い分けるタイプがあります。

 

●AED操作訓練(ダミー人形を用いて2種類のAED機器を用いた訓練をさせていただきました)

①、機器のガイダンスに従って、右の鎖骨上部の平らな部分と左わき腹に電極パッドを貼り付けると自動的に心電図測定が行われます。

②、"心拍異常のため電気ショックが必要"とされたら、周囲の安全を確保し患者から少し離れて通電ボタンを押します。

③、通電後は、30回の胸部圧迫と2回の人工呼吸の心肺蘇生処置を行い、心電図測定の結果をにより、心室細動が検知された場合は電気ショックを何度も実行します。

 

考察:

心室細動が収まらないかぎりは2度目、3度目とAEDの処置は続くことになるため、落ち着いて正しい操作をする事が重要です。

処置を施すにあたっては電極パッドを地肌へ直に貼り付ける必要があるが、意識を無くしてぐったりされている方の着衣を脱がせるのは困難。着衣をはさみで切り割かねばならない場合もあるため、親族・同行者の理解と同意も必要となります。

混乱した状況において勇気をもって心肺蘇生を実践し救命活動に貢献するためには、講習会への参加、並びに各職場での救命救急訓練でのシミュレーションが重要だと感じました。

救命救急イラスト.jpg

【気道異物除去、止血法】

●テキストに従って、それぞれの概要を学びました。

 

 

終わりに(補足として)

コロナ禍にある現状は、感染のリスクを避けるために人工呼吸は必然ではなく任意でとの説明でした。

胸部圧迫により血液中の酸素を体に循環させることは短時間の応急処置として効果があるため、人工呼吸を省くことが可能とのことです。

また、胸部圧迫により口内より飛沫が拡散されるのを防ぐために、ハンカチ・タオルや"蘇生用マウスピース"で口元を覆う対策が推奨されています。

 

 

 

㈱パシフィックアートセンターでは、品質方針にもとづき、 常に安全を最優先し業務にあたっております。