けさらんぱさらん商会 音響レポート 前編

  1. TOP
  2. PAC LIVE Voice
  3. Inside PAC
  4. けさらんぱさらん商会 音響レポート 前編

11/16~20 Space早稲田演劇フェスティバル2016にて

『けさらんぱさらん商会第6回公演 酔・待・草 』の公演が行われました。

音響がPACということで音響のことを中心に取材をさせて頂きました。

今回はプランナーが亀山さんで、オペレーターが永井さんです。演劇の現場だと、実際に打合せをして音を作る人と、本番で操作をする人が別々、と言うことが良くあります。

 

さっそくですが、稽古場の様子を突撃......。

image1.jpg

 

現場はとても和やかな雰囲気で稽古を行っていました。

本番の劇場が小規模の為、役者さんはマイクを通さず地声です。

ここで「あれ?」と思った人はいませんか? マイクを使わないのに、音響さんは何をやればいいのでしょうか?

演劇を見たことがある人はすぐに思いつくかもしれませんが、舞台には情景の移り変わりや感情を表現するときに効果音を多用します。

image2.jpg

↑最近はPCを使って音楽や効果音を出すのが主流だそうです。

 

今回の舞台はシビアなタイミングが多いこともあり、稽古の段階から役者さんの動きやセリフに合わせて効果音を鳴らし、音作りを行っていました。

役者さんの稽古が終わった後のダメだしにも参加し、台本を見ながらタイミングのチェックをしている様子は、まるで役者さんのようでした。

image3.jpg

↑オペレーターの永井さん。ダメ出し中にチェック

image4.jpg

稽古が終わった後も、演出家と相談しながら、音出しのタイミング、どの効果音を流すかなど、綿密に打合せを進めていきます。

 


 

<SE コケコッコー♪>

さて日が変わって本番前日。

現場では着々と仕込みの準備が行われています。

image5.jpg

それでは音響の方は、どのような仕込みになっているか、見ていきましょう。

image6.jpg昔は、芝居のタタキ(再生業務のことです)と言えばCDやMDを2台回しなどをしていましたが、最近はPCで、Liveと言うソフトで叩く事が主流になっています。

ボタン1つで複数の音源が取り扱え、編集もその場ですぐ出来るので便利です。PCはどうしてもトラブルがつきものなので、バックアップ用として2台用意してあります。

メインの卓はO1Vで、上の方にはLive用のコントローラーが置いてあります。

 

 

スピーカー周り

image8.jpg image7.jpg

今回、メインスピーカーは劇場の常設のものを使用しています。また、それだけではなく客席の前と後ろの壁際に、MS101とBOSEの101が、ウォールスピーカーとして仕込まれています。サラウンドで音楽を流したり、例えば、客席全体を包み込むような風の音を表現したりと言った効果を狙っています。

image10.jpg image9.jpg

なんと、客席の下のスペースに、巨大なサブウーファーが仕込んであります。セリフのキメで太鼓の音を鳴らすシーンがあったのですが、このサブウーファーのお陰で、客席が振動するほどの低音を得られ、芝居の迫力が増していました。

 

サウンドチェック

image11.jpg

実際に音を出しながら、音質や定位(音がどこから鳴っているのか)、音量決め、場合によっては音の素材をその場で編集し直したりと、プランナーの亀山さんにより、入念にひとつずつサウンドチェックが行われていきます。

 

亀山さん曰く、芝居の音響は、劇場全体を、台本にある情景を音で表現する事が重要になってきます。あくまで役者の演技がメインなので、音が邪魔をしないこと。芝居を助けるために音があると言うことを常に意識して心がけている、とのことです。

 

本番当日。

image13.jpg image12.jpg

公演直前の独特の緊張感があります。

 


 

本番終了後、けさらんぱさらん商会の演出/渡邊修さん、(以下、『修さん』)にインタビューをさせて頂きました。

image14.jpg

左)渡邊修さん 右)下元史朗さん

 

本日は本番お疲れ様でした。

それでは早速ですが、けさらんぱさらん商会について、ご紹介をお願いします。

修さん:

元々、第七病棟と言う劇団に所属をしていたのですが退団し、その後2004年に旗揚げしました。舞台で裏方の仕事をする傍ら、2~3年ごとに公演をしています。基本的に私1人しか居ないので、客演の方や仕事を通じて知り合った仲間達など、本当に色んな人の協力の元に成り立っている劇団です。

 

どうしてこの作品をやろうと思ったのでしょう。

 

修さん:

元々、ひねくれた芝居が好きだと言うことがまずあります。色々な遊びの要素をいれつつ、1人の人間の死に対して、各々どのように向き合い、受け入れて行くのか、と言った部分が少しでも伝わればと思いました。

今回設置されている電話ボックスは、岩手県大槌町の「風の電話」と言うものが一つモチーフになっています。本来は、生きている人が死者と対話する為のものなのですが、今回は死者から電話がかかってくると言う解釈に変えています。

 

今後の活動予定をお願いします。

 

修さん:まだ全然先のことはわかりませんが、行いたい芝居はあります。出演者の予定など皆が集まれるかどうかわからないのですが、2~3年後くらいに公演出来たらと考えています。その際は応援よろしくお願いします。

 

本日はありがとうございました。今後の活動も楽しみにしています!

 


 

今回は渡邊修さん他、けさらんぱさらん商会の皆さんのご協力を頂き良い芝居を拝見させて頂きました。今後の活動も是非注目していきたいと筆者は感じました。

快く取材を引き受けて下さった、けさらんぱさらん商会のみなさま、PAC亀山さん、永井さん、本当にありがとうございました。

 

さて、次回は音響プランナーの亀山さんと音響オペレーターの永井さんのインタビューです。

お楽しみに!