定式幕(じょうしきまく)

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3色の布を縦に縫い合わせたタイプの幕。歌舞伎・文楽・日本舞踊などで使用されます。

3色の布を縦に縫い合わせたタイプの幕。歌舞伎・文楽・日本舞踊などで使用されます。色は黒・萌葱(もえぎ)・柿色の3色が一般的ですが、もともと中村座では萌葱ではなく、白が使われていたようです。現在では平成中村座がその流れを汲んで白を使った定式幕を使用しているようです。有名なお煎餅も名前やパッケージはここから名づけられたそうです。

定式幕かわら版用.jpg

黒・萌葱・柿色の3色といいましたが、その色の並びは各劇場によって異なります。江戸三座と呼ばれる劇場の森田座は黒・柿色・萌葱の繰り返し、市村座は黒・萌葱・柿色の繰り返し、そして先述の中村座は黒・白・柿色の繰り返しとなっていました。それぞれの並びが現在では森田座の並びが歌舞伎座や南座、市村座の並びが国立劇場、大阪新歌舞伎座、中村座のものが平成中村座で使用されています。

定式幕は人力で、訓練をつんだ大道具さんが狂言方(きょうげんがた)さんの柝頭(きがしら)(歌舞伎などでチョン チョンと聞こえる木と木を打ち合わせて鳴らすもの。わからない人は火の用心で見回りの人が持っている木をイメージして下さい)に合わせて開閉します。

このとき、舞台の幅が広ければ広いほど、また幕が厚くしっかりしたつくりであるほど布とはいえ重くなっていくので、綺麗に開閉する為には技術や経験が必要です。若手の大道具さんはこの技術を習得する為に、公演がない時間に、ひたすら練習し、自在に操れるように努力を積んでいます。裏方の見えない努力ですね。

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        定式幕2かわら版用.jpg

↑裏から見るとこうやっています。

歌舞伎の場合は主に下手から上手に向かって開き、文楽の場合は上手から下手に向かって開きます。

これは歌舞伎の場合、下手に下座や花道があるので、最初に見えて、最後まで見えるように、また文楽の場合、主役である太夫の床が上手にある為といわれています。

余談ですが幕引きに協力してくれたのは入社7年目、国立劇場所属の大道具 和田君です。

撮影協力を依頼するとしっかり裁っ着袴(現場ではタツケとかタッツケと言われています。)まで着て協力してくれました。

和田かわら版用.jpg

撮影後にポーズまで決めてノリノリで協力してくれるお茶目な和田君。ありがとう!