3年目のキセキ~舞台監督として初めてのキュー出しを経験して~

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PACに入社し3年目、もしくはそれに近しき若手に、日頃の思いや、仕事を通じて学んだこと、びっくりしたこと、発見したことなどを自分の目線で思い思いに書いてもらっています。

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PACでは、「PAC REPORT」という社内報を年4回定期的に社内へ発行しています。
その中の「3年目のキセキ」という企画では、PACに入社し3年目、もしくはそれに近しき若手に、日頃の思いや、仕事を通じて学んだこと、びっくりしたこと、発見したことなどを自分の目線で思い思いに書いてもらっています。

こちらの記事は、そのPAC REPORT「3年目のキセキ」からの抜粋となります。

新人としてPACへ入社し、ベテランに成長するまでには、大変に長い時間を要します。苦心し、日々挑戦し、ほんのちょっと成長した自分を発見する。そんな彼らの軌跡、一人ひとりのストーリーです。

初回である今回は、KLホール舞台担当、M.Kさん(ホール名と筆者名はイニシャルに変えさせて頂きます)が、舞台の仕事に携わって得たことのお話です。それではどうぞ。


 

 

入社してからあっという間に時間が過ぎ、10代だった私もお酒を嗜む20代になりました。
気づけば、人生で1番濃い時間を過ごしている気がします。そんな毎日の中で自分が携わった催事についていくつか書きたいと思います。文章力に自信はありませんが、お付き合いいただけたら幸いです。

入社するまでの私は自分の好きなことにしか興味がなく、それだけで満足していました。しかし、今は未知の分野に携わり、「かっこいい!!」が連続の毎日です。
私の勤務しているKLホールでは毎年3月に地域の伝統芸能として伝承されている和太鼓の催事が行われます。コンクールになっており、沢山の団体が出演されます。あの鼓動と勢いはとても迫力があり、私も出る側として参加したいなぁと毎年憧れを抱きます。
今年はアトラクションのゲストとして、沖縄の伝統芸能エイサーをベースにパフォーマンスする創作太鼓集団が出演し、披露していました。もともと、年に1回旅行するほどの沖縄県好きですが、数年程は行っていなかったので、まさかここで雰囲気を味わえるとは、大感動でした。場所は違っても人と演出によって再現できるのだなと実感し、今後の仕事も色々知っていけることが楽しみになりました。そして、それを一緒に届けることができるこの仕事につけたこと、自分の誇りだなと、嬉しく思いました。

昨年の春、メインホールでバトンダンス発表会の舞台監督をやらせていただきました。KLホールではバレエやコンサートの外部対応、音楽教室、学校行事、お遊戯会などの発表会が大半を占めますが、ダンスの舞台監督をやる事が初めてで、緊張の嵐でした。
例年では操作盤として携わっていましたが、自分がインカムをかぶるとなると改めて、上司の方々の偉大さをずっしりと感じました。自分が不安なキューを出すと他のセクションにも影響があり、いつでも気丈に臨機応変に対応していく事、表情や口調に出さない事、進行していくということ、わかってはいるけれども苦戦の繰り返しでした。明転のキュー、音のキュー、緞帳のキュー、こんなに手汗が出たのは初めてでした。最後に先生から挨拶をいただいて、反省点はもちろんありますが、やり終えた達成感と嬉しさでいっぱいになりました。わからない事ばかり、焦りっぱなしの私にアドバイスとご指導を下さり、経験をさせて頂き、先輩方、上司の方々には本当に感謝しています。一生忘れない出来事です。緞帳きっかけのあった曲は今聴いても、ここでUPだ!!とその時の緊張感と懐かしい感情に浸ってしまいます。思い出の一曲です。

操作盤として印象に残っている催事は、ある有名なバレエダンサーの引退公演です。日本公演の初日ということもあり、仕込みから試行錯誤が沢山ありました。事前の打ち合わせとは全く異なり、バトンの動きも決まり事はなく、いけるところからいく!というシビアなものでした。その時1年目だった私は舞台監督さんの言いたいことを理解するのに今の倍以上時間が掛かっていたと思います。聞いたことのないような単語、難しい仕組みに焦り、ついていくのに必死でした。仕事が終わるともう何も考えられず、ただただ糖分を欲していた記憶があります。リハーサル・本番での袖中は通常より暗く、ド暗転の中、唾を飲み込むのも気を遣うほどの周りの雰囲気と緊張感は今でも鮮明に覚えています。100年に1人と言われるダンサーの演技を間近で見られたこと、あの緊張感の中で仕事ができたことは私にとって凄く貴重な経験になりました。

最近では、音楽を通じて教育ワークショップを行う、海外から来た学生~25歳くらいの若い団体と、日本の子供たちのコラボダンス・歌に感銘を受け、ブックオフで英会話の本を買いました。(3日坊主で終わってしまいましたが。。。)
また他の催事ですが、ある大学の男子チアリーディングでは、人が飛ぶのでポータルブリッジを通常より上げてくださいとの要望があり、実際に始まると、想像以上の高さを人が人を飛ばして舞っているのです。圧巻の演技でした。バク転・バク宙などもあり、アクロバットに興味を持ち、バク転教室に行ってみたりもしました。(これも1回しか行っていません。。。)

この仕事を始めて、私生活でもアクティブになった気がします。平凡に暮らしていた私ですが刺激を受け、やりたいことはやってみよう!と、そういうモチベーションに変わりました。3年経った今、得意になった事といえば棘を抜く事くらいですが、仕事面、人間的な部分での成長ができるよう、これから精進していきたいと思っています。

 

 


 

㈱パシフィックアートセンターは、劇場、ホールの舞台設備、照明、音響、映像まで舞台技術をトータルサポートする会社です