ピアノ研修会

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この記事は2016年10月に公開されました。

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8月4日に社内研修としてピアノ研修会が行われました。場所は天王洲アイル近郊のスタインウェイ・ジャパン(株)です。講師にはスタインウェイ・ジャパン(株)調律師の眞鍋 要氏をお招きしました。

 PACでは各ホールや会館でピアノの管理を行っていることもあり、ピアノの取り扱い方法やピアノの運び方など、管理をしていく上で大事なことを教えていただきました。


 

 ピアノはとても高価なもので、特に日本では傷が少し付いただけでも管理側の責任問題として致命傷です。そのためにも取り扱いには気を使います。

 運搬に使用する手袋は滑り止めを果たす「ゴム付き軍手」などでも良いとお聞きしました。

講師の眞鍋氏に実際に使っている手袋を見せていただきました。(下写真)

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 ピアノを取り扱う際は、ボディーを傷付けないように指輪や時計などの金属類アクセサリーは外したり、ベルトのバックルは体の正面からずらすなどしてから作業をするようにとのお話でした。

 そして運ぶときの手の位置も重要となります。下の写真のような手の位置にすることで壁とピアノの隙間を見やすくなります。

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 研修では実際に3人1組となってピアノを運び、持ち方や曲がるときのポイント、段差があるときの注意点など細かく指導して頂きました。

 興味深かったことは、運搬するときに3人が全体を見るのではなく、頭側に慣れている人が付き、全体の動きを把握して指示を出し、鍵盤側の人はそれぞれの担当部分のみに注意を向けるという役割分担があることでした。

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運ぶことが終わったら設置についてです。舞台に携わっている人たちのなかでもよく出る話が、ピアノの置き位置とキャスター(車輪部分)の向きです。

 ピアノの置き位置とは、ピアノのどこがセンターになるのか?という問題です。演奏者が中心なのか?鍵盤が中心か?くぼみの部分が中心か?

 その答えは、演奏会の内容によって変わるというものでした。ピアノソロなのか、歌の伴奏なのか、弦楽器や管楽器の伴奏なのかによって置く位置が変わるようです。

 そしてキャスターの向きですが、ピアノに対して真っ直ぐのほうが良いのか?もしくは八の字のほうが良いのか?という討論になったりします。

 このことに関しては様々な考え方があり、これが正しいというものはないとのことですが、例えば「キャスターを真っ直ぐの向きで調律したのなら、演奏時も同じ向きが良い」とのことです。理由はピアノの構造上、キャスターの向きによりフレーム(棚板)の形状に変化が生じ、それがピアノの音に微妙な影響を与えるからです。研修では、眞鍋氏にキャスターの向き変えた場合の状況を作っていただき、ピアノの音への影響を再現していただきました。

 一般的にはピアノのキャスターの向きなど気にしないとは思いますが、この記事で興味を持った方は、クラシックコンサートで見てもらえると良いかと思います。


(株)パシフィックアートセンターでは、東京を中心に首都圏の劇場・ホール約40施設において業務委託を受注させていただいています。 各劇場の考え方や運営体制・公演ジャンルに適した技術サービスと管理体制を提供します。