
CLとシーリングライト
「シーリングライト」という名称は住宅照明などでも使用されており、お馴染みとなっていますが、舞台用語においては、「客席天井部に設置されている照明器具」のことを指します。
このシーリングライトが設置されている場所を総称して『シーリング』と呼び『CL』と表記します。
CLは舞台の間口(横幅)に合わせ横並びに設置されています。
舞台上からとても離れています。
↑ 舞台上からCLを見上げた写真
複数の灯体を使って舞台正面から舞台全体を均一に明るくしたり、舞台上にいる演者への固定のスポットライトに使ったりと用途は様々です。
FRとフロントサイドスポットライト
フロントサイドスポットライトはCLを挟み込むように客席側面の壁沿いに位置し、舞台側を照らすよう、角度をつけた場所に設置される照明機材のことを指します。
この照明機材が設置される場所を『フロント』と呼び『FR』と表記します。
FRは舞台に対して斜め前から明かりをあてることが出来ます。
上手側と下手側の二方向から舞台上を照らすことでCLではカバーしきれない側面を明るくし、より均一に全体を照らすことが可能となるため、演者を立体的に際立たせる効果もあります。
CLが横並びなのに対してFRは縦に高さがあり、複数段を備えていることが多いです。
CLとFRの照らし方の違い
ここからは舞台全体を均一に照らす場合の違いを簡単な図を使ってご説明いたします。
例えば・・・各8台の灯体を使う場合・・・
[CLで舞台全体を照らす]
8台で全体を照らす場合、灯体からの光を上手あるいは下手から1台ずつ横並びに並べていきます。
一見素直に並べるだけのようですが、実際には舞台から遥か遠くの客席天井部から位置や大きさを操作し、人の目で均一な明るさを揃えるのはなかなか大変です。
[FRで舞台全体を照らす]
8台で全体を照らす場合、下手から4台、上手から4台を使用します。
下手あるいは上手から1台ずつ並べていきます。
実際にFR内でシュート作業をする者から見て、自分に近い方を『手前』、自分から遠い方を『ノビ』と呼んだりします。
CL、FR共に舞台上から遠い位置にあるため、大きなホールになるほど、舞台上で指示を出す者と各場所で灯体を操作する者に分かれて作業することが多いです。
ホール・劇場の建築設計のしかたによって設置状況も違うため、同じ台数を使用しても、明るさやあたり方が変わってきます。
その都度、声を掛け合い、状況を共有しながら、照明プランナーの想い描くような明かりが出せるように作業をします。
また灯体にカラーフィルターと呼ばれる色をいれて舞台上を色づけすることもあります。どのような色を入れるか、は、行う演目や照明プランナーのプランにより様々ですが、ブルーやアンバー(橙色)などがよく使われます。
以上、「シーリング」と「フロント」の説明と、一般的な使い方をご紹介しました。
撮影協力:東京国際フォーラム
㈱パシフィックアートセンターは、劇場、ホールの舞台設備、照明、音響、映像まで舞台技術をトータルサポートする会社です