パシフィックアートセンターには、舞台部会・照明部会・音響部会と技術部会があり、技術力の向上を図るため、定期的に活動をしています。
各部会では事業所で起きた困りごとの解決法やノウハウなどを共有し、日頃の業務に活かしています。
音響部会ワークショップ・全体会が開催されました。
入社2年目の社員の目線からワークショップの様子をお届けします。
------------------------
今回は実機を用いた「Danteシステム(以下、Dante)について理解を深めるための勉強会」です。
音響システムをきちんと理解したうえで、Danteパッチ・Rioのセッティング等、仮設機材もしくは常設パッチの修正ができるようにすることが目標です。
<Danteについて>
Dante(ダンテ)とは、オーストラリアのAudinate社が開発したプロオーディオ向けのデジタルオーディオネットワークシステムです。
1Gbps(1000Mbps)でのデータ送受信に対応したギガビットイーサネット規格と、インターネットの基盤技術であるIPネットワーク規格に準拠しています。
今、最も普及しているネットワーク規格を活用することで、簡単に、高品質なデジタルオーディオシステムを構築することができます。
(引用:Dante(ダンテ)とは?規格や活用シーンを紹介|パナソニックEWネットワークス株式会社|Panasonic)
<Rioとは>
ヤマハ社製のI/Oラック(I/O=Input/Outputの略)の一つです。
一般に「ステージボックス」とも呼ばれ、音響卓からの入出力端子を制御するための機材です。
舞台用語集 マルチボックスの、デジタルマルチに分類されます。(https://www.pacnet.co.jp/column/2020/01/01181026.html)
「講義では」
Danteを利用するうえで、「ケーブルは断線しないだろうか」「設定は適切だろうか」「動作は安定しているだろうか」など、トラブルになりうる事象を挙げました。
また、不安要素になっている理由を洗い出し、Danteの理解を深めるきっかけとなりました。
講義では意味を詳しく知らない音響専門用語を耳にすると、事前配布された「オーディオ用語集」をその場で意味を調べ理解に努めました。
「実機を用いて」
グループ別に実際にDanteのパッチ(*音響卓で制御できるように、機器の設定で任意の回線に割り当てること)を行いながら、Rioと接続をしてどのような表示が出るのかを確認しました。
講義で挙がった不安定な要素を意図的に再現し、どんな不具合が起こるのかを体験し、どうすれば解決できるのか試行錯誤しました。
私はまだ現場で大きな不具合を経験していないからこそ、これから先に起きてもおかしくない不具合を前もって経験ができました。
各グループでは様々な事象を試すなか、最後は参加者全員で、Danteシステムをリダンダント* で繋ぎ、片方が抜けた際やパッチ接続が間違っていた際の信号の反応、画面の表示等を改めて確認しました。
(* システムの安定性を高めるため、予備のネットワークを並走させて2重化し、メイン回線が途切れてももう1本のバックアップ回線が動くようにする接続方法)
別グループの方々からもアドバイス、ヒント、テクニックをいただき、多くを学ぶことができました。
「全体会では」
「トラブルシューティング」をテーマにディスカッションを行いました。
ワークショップとは別にグループ分けがされ、それぞれの事業所で起きたトラブルや、そのトラブルの際に取った対処方法を挙げ、賑やかな雰囲気のなかで議論を深めました。
また、トラブルから起きた疑問点などを情報共有し、先輩社員からの助言をもとに解決への糸口を探りました。
今回の部会は、通常勤務だけではできないような事象を再現し経験したことで実りの多い音響部会になりました。
これからの勤務でも活かせることを見つけ、さらに新しい物事にもチャレンジする姿勢を持って業務にあたりたいと思います。
㈱パシフィックアートセンターは、劇場、ホールの舞台設備、照明、音響、映像まで舞台技術をトータルサポートする会社です